環境を整える||8分で読める

リビング学習か自分の部屋か?年齢と性格で変わる最適な勉強環境

リビング学習か自分の部屋か?年齢と性格で変わる最適な勉強環境

「リビングだと気が散って、なかなか集中しない」「自分の部屋に行かせると、何をしているのか分からなくて不安」。小学生の勉強場所は、多くの家庭で一度は迷うところです。

リビング学習が良いと聞いて始めてみたものの続かなかった、部屋に移したら遊んでしまった、という話もよく聞きます。そんなとき、「うちの子は集中力がないのでは」と落ち込む必要はありません。うまくいかないのは、たいてい子どもの性格ではなく、いまのその子に合う場所と、そこでの親の関わり方がまだ見つかっていないだけです。

この記事では、学年ごとの目安を出発点に、子どもの様子からリビングと自分の部屋の向き不向きを見分けるポイント、決め方、うまくいかないときの工夫を順に紹介します。

どちらが正解かは、学年と子どもの様子で決まる

先に結論を書くと、「リビング学習が正解」「自分の部屋で集中させるべき」のように、どちらか一方がすべての子に合うわけではありません。

決める材料は、大きく二つです。

  • 学年。低学年ほど、困ったときにすぐ大人に頼れる場所が合いやすい
  • 子どもの様子。困ったときにどう動くか、人の気配があると集中できるか、自分で始めて自分で終われるか

学年はおおまかな目安で、実際に決め手になるのは子どもの様子のほうです。同じ小学3年生でも、リビングのほうが進む子もいれば、部屋のほうが落ち着く子もいます。まず学年の目安を確認し、そのあとでお子さんの様子と照らし合わせてみてください。

学年ごとのおおまかな目安

学年別に見ると、だいたい次のような流れになります。

  • 小学1〜2年生:リビングが中心。宿題は親の近くでやり、分からないところをすぐ聞ける状態にしておく
  • 小学3〜4年生:リビングを基本にしながら、短い時間だけ自分の部屋で一人でやってみる
  • 小学5〜6年生:自分の部屋を中心にしてもよい時期。丸つけや質問はリビングで、という形にしておく

低学年でリビングが勧められることが多いのは、分からない問題で止まったとき、一人ではなかなか立て直せないからです。鉛筆を持ったまま動かなくなったり、別の遊びを始めたりして、そのまま勉強の時間が終わってしまう。近くに大人がいれば、止まった時間が短くてすみます。

高学年になると、分からない問題を飛ばして先へ進んだり、自分で調べたりできる子が増えてきます。一人の時間のほうが落ち着く子も出てきます。ただし、これはあくまで目安です。

リビング学習が向いている子

リビング学習が合いやすいのは、次のような様子が見られる子です。

  • 分からないと、そこで手が止まってしまう
  • 親が近くにいると、安心して取りかかれる
  • 一人の部屋だと、なかなか始められない
  • 誰かがいるほうが、だらだらしにくい

リビング学習のよいところは、分からないところをすぐに聞けること、勉強が生活の一部になりやすいこと、親が様子を把握しやすいことです。

一方で、テレビの音や家族の会話が気になりやすい子には、集中しにくい場所でもあります。また、親の目が近すぎると、見られていることを負担に感じる子もいます。

リビング学習で気をつけたいのは、見守るつもりが「見張る」になってしまうことです。宿題を見るときの親の関わり方について、多くの研究を集めて比べた分析では、関わる回数の多さや、細かく口を出す関わりは、成績とはっきり結びついていませんでした。成績とプラスの関係が見られたのは、子どもの考えややり方を尊重する関わりでした。調査の多くは一時点のもので、口を出したから成績が下がったとまでは言えませんが、「近くにいること」と「見張ること」は分けて考えたほうがよさそうです。

リビングでの親の過ごし方としては、子どものノートをのぞきこむより、同じテーブルで自分の用事をしているくらいがちょうどいい距離です。本を読む、書類を書く、家計簿をつける。子どもは「見られている」より「一緒にいる」と感じやすくなります。

自分の部屋が向いている子

自分の部屋での勉強が合いやすいのは、次のような子です。

  • 声をかけなくても、自分で教材を出して始められる
  • 終わったら「終わった」と言いに来る
  • 分からない問題があっても、飛ばしたり調べたりして先へ進める
  • テレビの音や人の視線があると、集中が切れやすい

自分の部屋のよいところは、静かな環境で集中しやすいこと、自分で時間を管理する練習になること、親との距離がほどよくあいて「やらされている」感じが薄れることです。高学年になり、見られることを嫌がる時期には、信頼関係を保つうえでも役立ちます。

一方で、始めるきっかけと終わりの区切りを自分で作れないと、部屋では勉強が進まなくなります。リビングなら親の「そろそろやろうか」がきっかけになりますが、部屋にはその声が届きません。部屋に移すかどうかは、リビングにいるうちに「声をかけなくても始められるか」「終わったと言いに来るか」を見ておくと判断しやすくなります。

迷ったら、一週間試して本人に聞く

学年の目安と子どもの様子を見ても決めきれないときは、実際に試してみるのがいちばん確かです。

  1. 一週間ほど、日によってリビングと自分の部屋を分けて勉強してみる
  2. その間、「座ってから始めるまでの時間」と「分からない問題でどうしたか」を見ておく
  3. 最後に子どもに「どっちがやりやすかった?」と聞く

親の見立てと子どもの答えが違ったら、まずは子どもの選んだほうで始めてみるのがおすすめです。自分で選んだ場所のほうが、翌日も座りやすい。これは研究というより、私がこれまで子どもの隣で見てきた実感ですが、外れても一週間やり直せば済むので、試して失うものはほとんどありません。

見るポイントのうち、とくに役に立つのが「分からない問題でどうしたか」です。聞きに来るのか、黙って止まっているのか、飛ばして先に進むのか。聞きに来られる子や飛ばせる子は部屋でもやっていけますが、黙って止まってしまう子は、いまはリビングのほうが安心です。

うまくいかないときの工夫

場所を決めても、うまくいかないことはあります。よくある悩みごとに、試しやすい工夫を挙げます。

リビングだと集中できない

場所を変える前に、座る位置を見直してみてください。

  • テレビが視界に入らない向きに座る
  • 親と向かい合わせではなく、同じ向きに並んで座る
  • キッチンから背中が見えるくらいの位置にして、のぞきこまない

見られることに敏感な子は、親の顔が視界から外れるだけで落ち着くことがあります。家族の会話がにぎやかな時間帯を避ける、勉強の間だけテレビを消す、といった工夫も効果があります。

自分の部屋だとサボってしまう

いきなり部屋に任せきりにせず、リビングとの行き来をはさみます。

  • 最初の一問はリビングで解いてから、部屋に行く
  • 終わったら、丸つけのためにリビングに戻ってくる

「部屋で何をしているか分からない」という不安は、見張ることより、終わったら戻ってくる流れを作ることで小さくなります。一、二週間続けて、声をかけなくても戻ってくるようになったら、最初の一問も部屋でいい、と任せる範囲を少しずつ広げていきます。親の声かけに頼らずに勉強を始める仕組みは、共働き家庭の家庭学習サポートにも詳しく書いています。

どの学年でも使える「解くのは部屋、丸つけはリビング」

最後に、どちらに決めた家でも使える形を紹介します。問題を解く場所と、丸つけや質問をする場所を分けるやり方です。

  • 問題を解く場所は、その子に合うほうを選ぶ(リビングでも部屋でもよい)
  • 丸つけ、分からなかった問題の質問、次にやる分の相談は、リビングでする

こうしておくと、自分の部屋で勉強する子とも、一日に一度は同じテーブルで話す時間が残ります。高学年になって部屋にいる時間が長くなっても、「困ったらリビングに持ってくればいい」という習慣が続きます。

朝、学校に行く前に勉強する家なら、朝ごはんのテーブルがそのまま丸つけの場所になります。解くのは部屋でも、丸つけは食べ終わったお皿の横で。親は支度をしながらでも、一問だけ「これ、どうやって解いたの?」と聞くことができます。

場所が決まったら、机まわりや道具の置き方も見直しておくと、始めやすさがさらに変わります。項目ごとの見直し方は学習環境のチェックリストにまとめています。

リビングか自分の部屋かは、一度決めたら終わりではなく、子どもの成長に合わせて何度か見直していくものです。次に宿題をするとき、分からない問題の前でお子さんがどう動くか、少しだけ見てみてください。そこに、いまのその子に合う場所のヒントがあります。

この記事をシェアする

Author

石田憲太朗

創業者・運営者

家庭で続けやすい学習設計を、研究知見と実装の両面から改善しています。

運営者プロフィールを見る

関連記事

紙ドリルとデジタルドリルの違い:小学生に合う選び方と使い分け
#家庭学習#学習環境

紙ドリルとデジタルドリルの違い:小学生に合う選び方と使い分け

共働きの家庭学習:宿題を見られない日も子どもが始めやすくなる仕組み
#家庭学習#共働き

共働きの家庭学習:宿題を見られない日も子どもが始めやすくなる仕組み

学習環境チェックリストで整える小学生の家庭学習習慣の見直し方
#学習環境#家庭学習

学習環境チェックリストで整える小学生の家庭学習習慣の見直し方

小学生向け計算アプリの選び方|家庭に合う7つの比較基準と確認表
#算数アプリ#計算練習

小学生向け計算アプリの選び方|家庭に合う7つの比較基準と確認表