勉強嫌いを克服するには?ハードルを下げて「できた」を拾う家での関わり方

「どうしてうちの子は、こんなに勉強を嫌がるんだろう」と焦ってきつく言い、あとで落ちこむ。そのくり返しは、親子どちらにとってもつらいものです。
子どもが勉強を嫌がるのは、能力が足りないからではなく、いまのやり方がその子に合っていないというサインであることが少なくありません。だから、叱って気持ちを変えようとするより先に、やり方のほうを変えます。量をドリル3問くらいまで下げて、できた1問を言葉にして返す。家でできるのは、まずそこからです。
勉強嫌いは、「いまのやり方が合っていない」サイン
子どもが勉強を嫌がるのは、怠けているからでも、根性がないからでもありません。よく見ると、次のような理由が重なっています。
- いまの勉強のやり方が、退屈すぎる、または難しすぎる
- 「できた」と感じる経験が少なすぎる
- ほかの子と比べられて、自信がなくなっている
- 不安やストレスが強くて、勉強に向かう余裕がない
大人でも、興味のない資料を長時間読むように言われたら、やる気は起きません。最初の一歩は、「この子はだめだ」と考えるのではなく、「このやり方が、この子にはいま合っていないんだな」と考えを切りかえることです。
関わり方は、三つの順番で
勉強嫌いの子への関わり方は、次の順番で進めるのがおすすめです。
- 叱る前に、ハードルを下げる
- できたところを、細かく拾う
- 勉強が役に立つ理由は、本人に見つけてもらう
勉強を好きになるのは、ずっと先でかまいません。まずは「いやだけど、少しならできた」を増やすところから始めます。
1. 叱る前に、ハードルを下げる
勉強嫌いの子に、「今日は30分机に向かいなさい」「ドリルを1ページやりなさい」と最初から終わりの見えない課題を渡すと、子どもは「無理そう」「また怒られるかも」と感じて、逃げたくなります。最初は、次のくらいの量で十分です。
- 教科書を1段落だけ読む
- ドリルを3問だけ解く
- 漢字を2〜3文字だけ書く
少なすぎるように思えても大丈夫です。ここで欲しいのは、「やれば終わる」「自分にもできた」という経験のほうです。
小さな「できた」が続くと、子どもの中で、「自分は勉強をまったくやらない人ではない」「少しなら自分で始められる」という見方が少しずつ育っていきます。この見方が育つと、次の日に始めるのが前より楽になります。小さな成功体験の作り方は、小さな成功体験で勉強の自信を育てる方法で詳しく紹介しています。
2. できたところを、細かく拾う
勉強嫌いが強くなっていくよくある流れは、間違いを細かく指摘され、「なんでこんなのも分からないの?」と言われることです。これが続くと、子どもの中には「勉強すると怒られる」「いやな気持ちになる」という記憶ばかりが残ります。
先にやりたいのは、できているところを探して、言葉にすることです。
- 1問しかできなくても、その1問のことを言う
- 答えが違っていても、「式の立て方は合ってるね。あとは計算を一緒に見よう」と伝える
- 「字の形はきれいだね。とめとはねだけ一緒に直そう」と添える
直すところは、できたところを伝えたあとに、一つだけ添えるくらいがちょうどいい分量です。
できたところを伝えるときは、「合ってるね」で止めずに、そこから分かることまで言葉にすると、子どもの中に残りやすくなります。「式が立てられたなら、何を聞かれているかは分かってるってことだよ」。自分はどこまで分かっているのかが見えると、間違えた問題に向き合うのも少し楽になります。
3. 勉強が役に立つ理由は、本人に見つけてもらう
「勉強しないと将来困るよ」と言いたくなることもあると思います。私も言ったことがあります。返ってきたのは「べつにいい」の一言でした。子どもにとって、よく分からない将来より、いま怒られることのほうが身近です。勉強の意味を伝えたいときは、親が説明するのではなく、子ども自身に考えてもらうほうが届きます。
授業の内容が自分の生活とどうつながるかを何度か書いた大学生は、内容をまとめただけの学生より、その後の取り組みが増え、数年後まで理系の勉強を続けている割合も高かったという研究があります。
家では、書かせる代わりに、次のように一度だけ聞いてみてください。
- 「今日やったわり算、家の中だとどこで使いそう?」
- 「この漢字、読みたいマンガに出てきそう?」
- 「これができるようになったら、何がちょっと楽になると思う?」
返ってくる答えは、「お店でおつりを数えるとき」くらいの小さなもので十分です。役に立つ理由は、親が言いきらないようにします。答えが出てこない日は、そこで終わりにします。無理に言わせると、テストのようになってしまいます。
一人でやる作業を、一緒に過ごす時間に変える
勉強嫌いの子は、一人で机に向かうこと自体がいやになっていることもよくあります。最初は、一緒に過ごす時間として始めると、ハードルが下がります。
- タイマーを3分にセットして、親子で同時に問題を解く
- 親も隣で本を読んだり、自分の用事をしたりして、同じ時間を過ごす
- 覚えるものは、親子でクイズを出し合う
子どもにだけ「勉強しなさい」と言うのではなく、親も隣で何かに集中している姿を見せる。勉強が「怒られる時間」から「一緒に集中する時間」に変わると、子どもの態度も少しずつやわらいでいきます。
進み具合が見えるようにする
勉強嫌いの子でも、ゲームには驚くほど集中することがあります。ゲームが続けやすいのは、いま何をすればいいか、どこまで進んだかが、はっきり見えるからです。この「見えやすさ」は、勉強にも取り入れられます。
- ドリルに「ここまでで今日はおしまい」の印をつけておく
- 単元ごとに「たし算の段」「くり上がりの段」のように名前をつけ、終わった段に子どもが自分でチェックを入れる
- 終わったページは、子ども自身が角を折って「ここまで進んだ」と分かるようにする
ここで気をつけたいのは、ポイントをためたら動画やゲームがもらえる、というご褒美の仕組みにしないことです。ご褒美のために勉強するようになると、ご褒美がない日には勉強の理由がなくなってしまいます。借りたいのは、ゲームのご褒美ではなく、進み具合の見えやすさのほうです。
避けたい三つの声かけ
勉強嫌いを強めてしまいやすい声かけも、知っておくと役に立ちます。
- ほかの子と比べる:「◯◯ちゃんは、もうここまで進んでるよ」と言われると、子どもは「どうせ追いつけない」と感じやすくなります
- 将来を持ち出しておどかす:「勉強しないと将来困るよ」は、子どもには、よく分からない脅しとして届きがちです
- 何をすればいいか分からない言い方で責める:「ちゃんとしなさい」「もっと頑張りなさい」では、何をどうすればいいのかが分かりません
つい言ってしまっても、自分を責める必要はありません。頭の片隅に置いておくだけでも、少しずつ声のかけ方は変わっていきます。
親も、完璧を目指さなくていい
ここまでのことを、全部一度にやる必要はありません。親が完璧を目指すと、続かなくなるのは親のほうです。
- 今日は3問だけで終わってもいい
- やらない日があっても、次の日にまた始めればいい
- きつく言ってしまった日は、「さっきはごめんね」と一言だけ伝える
勉強嫌いを克服するときに見たいのは、一日でどれだけ頑張ったかより、少しずつ続けられているかどうかです。勉強嫌いの中身が、算数への苦手意識や不安である場合は、算数が苦手な子の克服も参考にしてください。
まずは次の勉強で、いつもの量を「3問だけ」にして、解けた1問のことを、一言だけ言葉にしてみてください。
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Author
石田憲太朗
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