結果より過程の褒め方:頑張ったのに点数が上がらないときの3ステップ

「こんなに頑張ったのに、なんで点数が上がらないの」と、返ってきたテストを見て落ちこむ子どもを前にすると、親のほうも苦しくなります。「頑張ったね」と言いたい一方で、つい「次はもっと頑張ろうね」と言ってしまい、あとで言い方を後悔することもあると思います。
頑張ったのに点数が上がらないときこそ、結果より過程に目を向ける声かけが役に立ちます。点数を見る前に「どんな勉強をしたの?」と聞き、前回との違いを一緒に探し、見つけた変化を言葉にして返す。この順番なら、点数が変わらなかった日にも、子どもの手元に「前より進んだところ」が残ります。
子どもが「結果が出ない努力はむだ」と感じるのはなぜか
子どもがそう感じるようになる背景には、ふだんの何気ない会話があります。
- 「90点!頑張ったね!」
- 「60点か……次はもうちょっと頑張ろうね」
- 「クラスで何番くらいだった?」
どれも悪気のない言葉です。けれど子どもは、ここから次のようなメッセージを受け取ります。
- 点数が高いと褒められる
- 点数が低いと、もっとやれと言われる
- ほかの子より上か下かで、自分の値打ちが決まる
こうした経験が重なると、子どもの中で「頑張って点数が上がれば褒められる」「頑張っても点数が上がらなければ、まだだめなんだ」という図式ができあがります。すると、「頑張っても変わらない」「間違えるくらいなら、やりたくない」という気持ちが強くなっていきます。
ここで必要なのは、「結果なんて気にしなくていい」と言い聞かせることではありません。頑張りのどこが成長につながっているかを、親が一緒に探すことです。
結果より過程を見る、3つのステップ
頑張ったのに点数が上がらなかった日は、次の順番で話してみてください。
- 結果より先に、「どんな勉強をしたか」を聞く
- 前回との違いを、一緒に見つける
- 見つけた変化を、言葉にして返す
ステップ1:結果より先に、「どんな勉強をしたか」を聞く
子どもがテストを持ってきたとき、最初の一言を変えるだけで、伝わるものは大きく変わります。「何点だった?」「クラスでどれくらい?」の代わりに、次のように聞いてみてください。
- 「今回は、テストの前にどんな勉強をしたの?」
- 「前より増やしたことって、何かある?」
- 「いちばん頑張ったのは、どこ?」
ここでは、よかったところ、だめだったところを判断しません。どんなことをしたのかを、事実として一緒に並べるだけです。
「前はワークを1回やっただけだったけど、今回は2回やった」「前は前の日にしかやらなかったけど、今回は3日前から始めた」「分からないところを先生に聞きに行けた」。どれも、成長の手がかりです。点数にはまだ表れていないだけかもしれません。
ステップ2:前回との違いを、一緒に見つける
次に、比べる相手を、ほかの子から前の本人に戻します。
- 「前のテストのときと比べて、変えたところはどこ?」
- 「前より楽になったところはある?」
- 「前は、どこでつまずいていたっけ?」
子どもがうまく答えられなければ、親が一緒に思い出す手伝いをします。「前は分からないところをそのままにしていたけど、今回は先生に聞きに行ったよね」。大人から見ると小さな変化でも、子どもにとっては「前より進んでいる」と気づくきっかけになります。
ステップ3:見つけた変化を、言葉にして返す
最後に、見つけた変化を言葉にして子どもに返します。子どもは、自分がどこで成長しているかを、自分ではなかなか気づけないものです。
- 「前より、始めるまでが早くなったね」
- 「前はすぐ止まっていたのに、今回は最後までやったね」
- 「今回は、点数より、やり方が前よりよくなっていたね」
「すごいね」「えらいね」だけで終わらせず、できれば、どんな頑張りが、どんな変化につながったのかをセットで伝えてください。「毎日10分でも机に向かっていたから、計算が前より速くなってるね」と言われると、子どもは、自分の行動と結果のつながりを学んでいきます。
拾える頑張りが見つからない日は、短い言葉でいい
「頑張りを見つけて言葉にしましょう」と書きましたが、毎日それができるわけではありません。私自身、疲れた日は「おつかれ」しか出てこないことがあります。親に余裕がない日もあれば、本当に取り上げるほどのことがなかった日もあります。
そういう日に、無理に褒め言葉をひねり出す必要はありません。褒め方を比べた実験では、努力を褒めた場合と、「できたね」くらいの短い肯定だけを返した場合とで、そのあと粘る強さに差が出なかったという結果が報告されています。「頑張ったね」と毎回言うこと自体に力があるわけではありません。言葉が力を持つのは、実際にあったことと合っているときです。
拾えるものが見つからない日は、次のくらいで十分です。
- 「終わったね」
- 「おつかれさま」
むしろ避けたいのは、中身がないのに言葉だけを大きくすることです。大げさに褒めるほど、自信のない子にはかえって重荷になることがあります(詳しくは「頭がいいね」は逆効果?で紹介しています)。
それでも、どんな日にも一つだけ、盛らずに言える本当のことがあります。その日、子どもが勉強を始めたことです。勉強は、始めるところがいちばん重い。だから「おつかれさま」のあとに、「始めるのがいちばん重いところなのに、そこは自分で越えたね」と一言足せます。
拾えた日は具体的に、拾えなかった日は短く、始めたことだけを。そう考えると、褒め方に悩む気持ちが少し楽になると思います。
結果を見ないわけではない。見る順番を変える
子どもだって、点数は気になります。結果を見ないふりをする必要はありません。変えるのは、見る順番です。
- 最初に見る:どんな勉強をしたか
- 次に見る:前回と比べて、変わったところ
- 最後に見る:点数
この順番を守れば、点数の話をしても、子どもは自分そのものを否定されたとは感じにくくなります。「今回はどんな勉強をした?」「なるほど。じゃあ次は、どこを変えたらもっとよくなりそう?」と、ふり返りから次の工夫につなげる話し方ができるようになります。テストの点が下がった直後の関わり方は、テストの点が下がった直後に親がやることで、返却から48時間の流れとして紹介しています。
成長を、目に見える形に残す
言葉だけでは流れてしまうので、成長が目に見える形で残る工夫もおすすめです。
- できたことを一行だけ書く:その日にできたことを、子どもが一行だけ書く。「漢字ドリルを最後までやった」「分からない問題を先生に聞けた」。勉強以外のことでもかまいません。親は、結果ではなく、書かれた行動に一言だけコメントを添えます
- テストの端に、間違いの理由を書く:返ってきたテストの端に、子どもが「間違えた理由」と「次に変えること」を一言ずつ書く。テストが、点数の記録から、次の自分へのメモに変わります
- 「前と変えたこと」を一つだけ書くノート:テストが返ってきた日に、「前と比べて変えたこと」を一つだけ書く。数か月たつと、自分が少しずつ変わってきた記録になります
どれも、何日続いたかを数える必要はありません。書けた日に書けば十分です。
親自身の頑張りも、過程で見ていい
いちばんしんどいのは、頑張っているのに結果が出ない子どもを、そばで見ている親なのかもしれません。だから、親自身の頑張りも、結果ではなく過程で見てあげてください。
- 「今日は、子どもの話を最後まで聞こうとした」
- 「点数だけで怒らないように、言葉を選んだ」
- 「前より少しだけ、子どもの行動を見るようにした」
どれも、親としての成長です。完璧な親でなくてかまいません。親が自分の頑張りを結果だけで判断しない姿は、子どもにとって、何よりのお手本になります。
次にテストが返ってきたら、点数を見る前に、「今回は、どんな勉強をしたの?」と一言だけ聞いてみてください。
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Author
石田憲太朗
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