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勉強のご褒美はどう減らす?いきなりやめずに進める4つの段階

勉強のご褒美はどう減らす?いきなりやめずに進める4つの段階

「ドリルをやったら動画30分ね」「テストで90点取ったら、ゲームを買ってあげる」と勉強のたびにご褒美を約束しているうちに、ドリルを開く前に「今日は何くれる?」と聞かれるようになった。ご褒美のない日は、ドリルが机に出てこない。

ご褒美を約束すると、子どもがその場で動きやすくなるのは本当です。ただ、それが続くと、勉強が「何かと引き換えにするもの」になっていきます。やめるときは、いきなりゼロにしないほうがうまくいきます。最初に変えるのは、ご褒美の中身ではなく約束の条件です。「90点取ったら」を「決めた時間に始めたら」に変えるところから、四つの段階で順に減らしていきます。

ご褒美がないと勉強しなくなるのは、なぜか

ご褒美の約束は、始めるまでの気持ちを確かに軽くします。私自身、忙しい日に「これが終わったら好きな動画を見ていいよ」と言って、何度も助けられてきました。ご褒美を使ったこと自体を、悪いことだと思う必要はありません。

ただ、ご褒美の約束が長く続くと、子どもの中で「なぜ勉強するのか」の答えが少しずつ変わっていきます。お手伝いのたびにお小遣いを渡していると、そのうち「お金をもらえないなら手伝わない」になることがあります。手伝うこと自体が嫌になったのではなく、手伝う理由がお金になってしまったのです。勉強でも同じことが起きます。勉強する理由がご褒美になると、ご褒美がない日には、始める理由が見つからなくなります。

この傾向は研究でも確かめられています。100本を超える実験をまとめた分析では、お金や物のような形のあるご褒美を約束すると、ご褒美がない場面で自分から取り組む気持ちが下がる傾向がありました。一方で、「よくできたね」のような言葉による肯定には、そうした傾向は見られませんでした。

よくあるのは、次のような流れです。

  • ドリルを開く前に、「今日は何くれる?」と聞くようになる
  • 約束の中身が、だんだん大きくなっていく
  • ご褒美がない日は、「じゃあやらない」になる

こうなったときに目指したいのは、ご褒美を急に取り上げることではなく、勉強する理由を、少しずつ子ども自身の中に戻していくことです。

ご褒美は、いきなりやめずに順番に減らす

ご褒美を急にゼロにすると、たいてい親子の衝突になります。変えるときは、次の四つの段階で、一つずつ進めていきます。

  1. 約束の条件を、点数や量から「始めたこと」に変える
  2. ご褒美を小さくして、回数を減らす
  3. 終わったあとに、子どもが自分で「できた」を確かめられる形をつくる
  4. 最後に、ご褒美の約束そのものをなくす

一つの段階が落ち着いてから、次に進みます。いま「何くれる?」が毎日出ている家庭なら、まずは1だけで十分です。

段階1:約束の条件を、点数や量から「始めたこと」に変える

最初に変えるのは、何をすれば約束を守ったことになるか、という条件です。「90点取ったら」「3ページやったら」という条件は、結果や量を目標にしています。これを、子どもが自分の手でできる「始めたこと」に置き換えます。

  • 「90点取ったら」→「テストの前に、間違えた問題のやり直しを始めたら」
  • 「3ページやったら」→「おやつのあとに机に座って、ドリルを開いたら」
  • 「毎日やれたら」→「決めた時間に始められたら」

点数は、その日の問題の難しさにも左右されますが、「ドリルを開く」は子どもが自分で決められることです。条件が「始めたこと」に変わると、子どもの目も、結果から始め方のほうへ移っていきます。

変えるときは、子どもに正直に伝えます。「約束の形を変えようと思う。これからは点数じゃなくて、決めた時間に始めたかどうかにするね」。頑張ったのに点数が上がらなかった日の声のかけ方は、結果より過程の褒め方で紹介しています。

段階2:ご褒美を小さくして、回数を減らす

条件が変わって落ち着いてきたら、ご褒美そのものを小さくしていきます。

  • 回数は、毎回から、週に一度にまとめる
  • 中身は、ゲームソフトやおもちゃから、好きなおやつや夕ごはんのおかずを一品選ぶ、といった小さなものに
  • 渡し方は、その場ですぐではなく、週末に一緒にふり返ってから

小さくするとき、子どもは「え、それだけ?」と言うかもしれません。そこで交渉に乗らないために、ご褒美の大きさを決めるのは親、勉強を始めるかどうかを決めるのは子ども、と役割を分けておきます。「ご褒美の大きさは私が決めるね。いつ始めるかは、あなたが決めていいよ」。

どれくらいの速さで小さくしていくかは、「何くれる?」と聞く回数を目安にしてください。聞かれる回数が減ってきたら、次に進みます。1か月で落ち着く家庭もあれば、半年かかる家庭もあります。

段階3:終わったあとに、自分で「できた」を確かめられる形をつくる

ご褒美が小さくなると、勉強が終わったあとに何も残らない感じがして、子どもは「なんのためにやってるんだろう」と感じやすくなります。そこで、終わったあとに、子ども自身が「今日もできた」と確かめられる形を用意します。

  • 丸つけを自分でして、直した問題の数を自分で言う
  • 次にやるページに付せんを貼ってから、ドリルを閉じる
  • 親は、見たことに意味を一言足して伝える。「三問目で止まったけど、もう一回書いてたね。止まっても、やめなかったんだね」

親の一言は、大げさなほめ言葉でなくてかまいません。大げさな褒め言葉は、自信のない子にはかえって「次もそうでなきゃ」という重荷になることもあります。「すごい」「えらい」と言ったら、続けて、何を見てそう思ったのかと、それが子どもにとってどんな意味があるのかを添えます。そのほうが、子どもは自分が何をしたかを覚えていられます。

ここで一つ気をつけたいのは、物の代わりに「体験」をご褒美にしないことです。「勉強が終わったら一緒にゲームしよう」にすると、親子の時間まで勉強との引き換えになってしまいます。親子で遊ぶ時間は、勉強をしたかどうかに関係なく、ふだんから用意しておいてください。勉強と関係のない楽しい時間が家にあると、勉強のほうも、取引から抜け出しやすくなります。

段階4:最後に、ご褒美の約束そのものをなくす

段階3まで進むと、週末のふり返りのときに、子どもがご褒美のことを忘れている日が出てきます。そうなったら、約束そのものをなくす頃合いです。

なくすときも、黙ってやめるのではなく、子どもと話して決めます。

  • 「最近、ご褒美のこと言わなくなったね。この約束、もうなくてもいい?」
  • 「代わりに、今週できたことを一緒に見る時間は続けようか」

子どもが「まだほしい」と言ったら、無理にやめなくてかまいません。段階2に戻って、もうしばらく小さな形で続けます。約束がなくなったあとも、週末に一緒にノートを見返す時間や、見たことを一言伝える習慣は、そのまま残しておきます。

「じゃあ、やらない」と言われた日

条件を変えても、ご褒美を小さくしても、「じゃあやらない」と言われる日は来ます。ここで元の大きな約束に戻すと、子どもは「粘れば元に戻る」と覚えてしまいます。

そういう日は、元の約束には戻さず、始めるかどうかだけを子どもに任せます。

  • 「そっか。今日やらないのも、あなたが決めていいよ。明日のことは、明日また決めよう」

一日やらない日があっても、大きな問題ではありません。この取り組みで目指すのは、勉強した日を増やすことより、ご褒美がなくても始められる理由を、子どもが自分の中に見つけることです。命令に戻ってしまいそうな日に使える言い方は、勉強しない子どもへの声かけで紹介しています。

親のほうが、つい点数で褒めてしまう日もあると思います。そんなときは、あとから言い直せば十分です。「さっきは点数のことばかり言ったけど、途中でやめなかったのをちゃんと見てたよ」。ご褒美以外に勉強の習慣を支えるものについては、小学生の勉強習慣の付け方で五つの条件として整理しています。

ご褒美がないと勉強しない状態は、一度で変わるものではありません。次に「今日は何くれる?」と聞かれたら、ご褒美の中身はそのままでかまわないので、約束の条件だけを「点数」から「始めたかどうか」に変えてみてください。

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Author

石田憲太朗

創業者・運営者

家庭で続けやすい学習設計を、研究知見と実装の両面から改善しています。

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