子どもの工夫を褒める声かけ:点数主義を弱める家庭学習の関わり方

テストが返ってくると、つい最初に「何点だった?」と聞いてしまう。点数が気になるのは親として自然なことですが、それだけで会話が終わると、子どもは少しずつ「点数がよければいい、悪ければだめ」と考えるようになっていきます。
点数の代わりに、あるいは点数と一緒に見てほしいのが、子どもが問題を解くときにしていた工夫です。この記事では、工夫を見つけて褒める声かけの具体例と、間違えた問題の扱い方、工夫を習慣にするための簡単なノートの使い方を紹介します。
点数だけを聞いていると、子どもは安全な問題を選ぶようになる
テストのたびに点数の話だけをしていると、子どもの中で「点数=自分の評価」という結びつきが強くなります。すると、次のような変化が起きやすくなります。
- 間違えそうな難しい問題には、手を出さなくなる
- 新しい解き方を試さなくなる
- 間違いを隠したり、見せたがらなくなったりする
点数を守ろうとするほど、挑戦や試行錯誤が減っていきます。短い目で見れば点数は保てるかもしれませんが、新しいことを身につけていく力は育ちにくくなります。
そこで、テストのあとに聞く言葉を、少しだけ変えてみてください。
- 「今回は、どんな工夫をしてみた?」
- 「前と変えてみたところは、どこ?」
これだけで、会話の中心が点数から、子ども自身がしたことに移ります。点数への反応が子どもの自己イメージにどう影響するかは、子どもの勉強の自己イメージを守るにはで詳しく紹介しています。
褒めたい「工夫」とは
工夫というと大げさに聞こえるかもしれませんが、見つけてほしいのは、次のような小さなことです。
- 手を動かす工夫:図を描いた、問題文に線を引いた、数字に丸をつけた、メモを書いた
- 順番の工夫:解けそうな問題から先に解いた、時間がかかりそうな問題を後に回した
- 前回からの工夫:前のテストで困ったことに、今回は何か手を打っていた
- 向き合い方の工夫:難しい問題にも、とりあえず手をつけた。時間が足りなくても、最後まであきらめなかった
どれも、答案やノートを見れば跡が残っていることが多いものです。正解か不正解かに関係なく、見つけられます。
工夫を見つける順番:聞く → 言葉にする → 次を相談する
答案やドリルを一緒に見るとき、よくあるのは、間違いに印をつけて、親が解き方を説明して終わる形です。親としては教えた手応えがありますが、子どもにとっては、自分で考える時間がなくなってしまいます。
おすすめは、次の順番です。
- まず、子どもに聞く:「この問題、どうやって考えたの?」「どんな順番で解いた?」
- 子どもの説明の中から、工夫を見つけて言葉にする:「この図を自分で描いたんだね。分かりやすくなってる」
- それから、次にどうするかを一緒に考える:「その工夫、次はどうしたらもっとよくなりそう?」
三つ目は、だめなところを指摘するのではなく、うまくいったやり方をもっとよくする相談にするのがポイントです。
- 「ここが違う」→「このやり方、次はどう変えたらもっとうまくいきそう?」
こうしたやりとりをくり返すうちに、子どもは「次はどう工夫しようかな」と考えながら勉強に向かうようになっていきます。
間違えた問題は、次に試す工夫を考える場にする
多くの家庭では、無意識のうちに、正解は褒める場面、間違いは反省する場面になっています。この扱いを少し変えて、間違えた問題を「次に試す工夫を考える場」にしてみてください。
間違えた問題を見つけたら、責める代わりにこう聞きます。
- 「ここ、次はどうしたら防げそう?」
間違いの種類によって、たとえば次のような工夫が考えられます。
- 計算ミス:「最後に見直すとしたら、どこを確かめる?」
- 問題の読み飛ばし:「読み飛ばさないための自分ルールを一つ作るとしたら?」
- 時間切れ:「次は、どの問題から解く?」
ここで大事なのは、親が「こうしなさい」と決めないことです。案を出すのは子どもです。親は答えを与える人ではなく、子どもの考えを引き出して、整理する手伝いをする人のつもりでいてください。子どもが自分で考えた工夫のほうが、次に実際に試される可能性が高くなります。
工夫の褒め方の例
見つけた工夫は、できるだけ具体的に言葉にして伝えます。
- 「前は順番に解いて時間が足りなかったのに、今回は解けそうなところからやったんだね。自分で作戦を変えたのがいいね」
- 「この図、自分で描いたんだね。見やすくなってる」
- 「ここは答えが違ったけど、『こうかな』って自分で考えて進めていたね。次はそこを見直せたら、もっとよくなりそう」
何をしたかをはっきり言葉にしてもらうと、子どもは「このやり方でいいんだ」と分かり、次も同じ工夫を選びやすくなります。反対に、「頭がいいね」「さすがだね」のような言葉では、何がよかったのかが子どもに伝わりません。能力を褒める言葉が逆効果になることがある理由は、「頭がいいね」は逆効果?で紹介しています。
工夫を習慣にする「今日の工夫ノート」
工夫に目を向けることを習慣にするために、簡単なノートを使う方法もあります。
- ノートの1ページに、「今日やったこと」「今日した工夫」「次に試したい工夫」の三つを書く欄を作る
- 勉強が終わったあと、3分だけ親子で一緒に書く
- 書いた内容のよしあしは気にせず、書けたこと自体を認めて終わる
最初は「工夫なんてしてない」と言う子もいます。そのときは、親が見つけた工夫を一つ伝えて、「それ、書いておこうか」と手伝ってください。
このノートは、テストの前に見返すと役に立ちます。「自分は、こんなにいろいろ工夫してきたんだ」と分かると、「やり方を変えれば前に進める」という感覚が育ちます。親にとっても、点数だけでは見えない子どもの変化が目に見える記録になります。
点数を見るのを、やめなくていい
点数を気にすること自体は、悪いことではありません。点数は、どこまで理解できているかを知るための大切な情報です。大事なのは、点数だけで話を終わらせないことです。
点数の話をするなら、工夫の話のあとにしてみてください。先に工夫を認めてもらえた子どもは、点数の話も落ち着いて聞けるようになります。
子どもは、答案の中でもう、いろいろな工夫をしています。次にテストやドリルを見るときは、丸やバツを数える前に、図や線、書き直しの跡を一つ探してみてください。
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Author
石田憲太朗
創業者・運営者
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