小学生の学習習慣を仕組み化する方法:やる気に頼らない毎日の学び設計

「言わないとやらないし、言うと不機嫌になる」という悩みを抱えている小学生の家庭は、少なくありません。「勉強しなさい」と本当は言いたくないのに、言わないとそれはそれで不安になり、気づけば今日も同じことを言っている。
うまくいかないのは、親の関わり方や子どもの根性の問題とは限りません。勉強を毎回やる気で始めようとすること自体が、そもそも難しいのです。この記事では、やる気に頼らずに毎日の勉強が回るように、学習習慣を「仕組み」にする方法を紹介します。
やる気に頼らない、とはどういうことか
やる気は、天気のようなものです。晴れる日もあれば、くもる日も雨の日もあります。毎日晴れることを期待して計画を立てると、くもった日には計画ごと崩れてしまいます。
そこで発想を変えて、やる気が出るのを待つのではなく、やる気がそれほどない日でも始められる形を、先に作っておきます。これが、学習習慣の仕組み化です。歯みがきを毎回やる気で始めている人はいないように、勉強も、生活の流れの中に入ってしまえば、毎回気合いを入れなくても始まるようになります。
仕組み化とは、「わが家の勉強の形」を一つ決めること
仕組みといっても、難しいことではありません。次の五つを、家庭ごとに一つずつ決めておくだけです。
- いつ:どの生活の場面のあとに始めるか
- どこで:家の中のどこで勉強するか
- 何をどれだけ:最初にやることと、その量
- 始まりの合図:何を合図に始めるか
- 終わり方:終わったら何をして、どんな一言をかけるか
たとえば、こんな形です。
- いつ:学校から帰っておやつを食べたあと
- どこで:ダイニングテーブルのいつもの席
- 何をどれだけ:計算ドリルを3問
- 始まりの合図:おやつのお皿を片づけたら、タイマーを5分にセットする
- 終わり方:丸つけをして、親が「今日も座ったね」と一言かける
朝に勉強する家なら、「朝ごはんのあと」「リビングのローテーブル」「漢字を3つ」でもかまいません。朝と夜のどちらに置くか迷うときは、小学生の勉強は朝か夜かで、生活リズムから決める見方を紹介しています。大切なのは、五つが決まっていて、毎日ほぼ同じ形で始まることです。形が決まっていれば、「いつやるの?」「何からやるの?」と毎回話し合う必要がなくなり、親の声かけもぐっと減ります。
五つを決めるときは、子どもと一緒に決めてください。「おやつのあとと、お風呂の前、どっちがやりやすい?」と聞いて、子どもに選んでもらいます。自分で選んだ形のほうが、守られやすくなります。
量は、拍子抜けするくらい小さく
勉強が続かない大きな理由の一つは、始める前から気が重くなるほど、量が多いことです。最初の量は、拍子抜けするくらい小さくてかまいません。
- 計算を3問
- 漢字を2〜3文字
- 教科書を3行だけ音読する
始めてしまえば、そのまま少し続けられることもよくあります。子どもが自分から「もう少しやる」と言ったら、続けてかまいません。ただし、次の日から量を増やすのはやめておきます。量を増やすかどうかは、子どもと相談して決めます。そんなに短くて意味があるのかと感じる方は、1日3分の勉強でも習慣が続く理由も読んでみてください。
親の役割は、「教える人」より「環境係」
多くの親は、自分の役割を「勉強させる人」「教える人」だと考えがちです。仕組みを回すうえでおすすめなのは、「環境係」になることです。環境係の仕事は、次のようなことです。
- 勉強の時間になったら、タイマーを用意しておく
- 鉛筆、消しゴム、ドリルを、すぐ手の届く場所にそろえておく
- 勉強の時間は、テレビを消すか音を小さくする
- 子どもがつまずいたときは、答えを教える前に「どこで止まった?」と聞く
横から「そこ違う」とすぐに指摘したくなる気持ちは分かりますが、口を出すほど、子どもは自分で考える前に親の顔を見るようになります。
親子で同じ時間を過ごす
子どもだけが勉強していて、親は横でスマホを見ながら「ちゃんとやりなさい」と言う。これでは、子どもにとって勉強は「自分だけがやらされるもの」になります。
おすすめは、勉強の時間を、親子それぞれが静かに何かに集中する時間にすることです。
- 子どもがドリルをしている10分間、親は本を読む
- 子どもが漢字を練習している間、親は家計簿や手帳の整理をする
「この時間は、家族がそれぞれ静かに何かをする時間」という空気ができると、言葉で指示するよりずっと自然に、子どもは机に向かえるようになります。
終わり方を大切にする
習慣づくりでは、終わったときの気分がとても大切です。終わったとたんに注意や説教が待っていると、子どもの中に「勉強のあとは、いやなことが起きる」という記憶が残ります。
- 終わったら、一言だけでいいので、よかったところを伝える
- どれだけできたかより、「今日も座った」「決めた3問をやった」という事実を認める
- 「なんで間違えたの」は、その場では言わない
休む日も、仕組みに入れておく
「毎日絶対にやる」と決めると、できなかった日に親も子も気持ちが折れてしまいます。休む日は、はじめから仕組みの中に入れておきます。
- 習い事のある曜日は、お休みにする
- 体調が悪い日や、行事で疲れた日は休んでいいと決めておく
- 休んだ次の日は、前の日の分を足さずに、いつもの量から始める
続いているかどうかは、一日ごとではなく、一週間くらいの長さで見てください。数日休んだ週があっても、また戻ってこられていれば、習慣は続いています。止まってしまったあとの戻り方は、勉強の再開のコツで詳しく紹介しています。
見るのは、点数より「変化」
仕組みがうまく回っているかどうかは、テストの点数だけでは分かりません。点数で一喜一憂しすぎると、子どもは「点数のためにやらされている」と感じるようになります。見てほしいのは、次のような変化です。
- 声をかける前に、座れる日が増えてきた
- 始めるまでの時間が短くなってきた
- 自分でドリルやプリントを選ぶようになってきた
こうした変化を見つけたら、言葉にして伝えてください。「最近、言われる前に座ってるね」。こうした一言を重ねるうちに、子どもの中に「自分は続けられる」という感覚が育っていきます。習慣が続く家庭に共通する条件は、小学生の勉強習慣の付け方でも整理しています。
まずは親子で、「いつ・どこで・何をどれだけ・始まりの合図・終わり方」の五つを、一つずつ決めてみてください。紙に書いて、机の見えるところに貼っておくと、それだけで仕組みは動きはじめます。
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Author
石田憲太朗
創業者・運営者
家庭で続けやすい学習設計を、研究知見と実装の両面から改善しています。
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