学習の仕組み化||6分で読める

小学生の学習習慣を仕組み化する方法:やる気に頼らない毎日の学び設計

小学生の学習習慣を仕組み化する方法:やる気に頼らない毎日の学び設計

「言わないとやらないし、言うと不機嫌になる」という悩みを抱えている小学生の家庭は、少なくありません。「勉強しなさい」と本当は言いたくないのに、言わないとそれはそれで不安になり、気づけば今日も同じことを言っている。

うまくいかないのは、親の関わり方や子どもの根性の問題とは限りません。勉強を毎回やる気で始めようとすること自体が、そもそも難しいのです。この記事では、やる気に頼らずに毎日の勉強が回るように、学習習慣を「仕組み」にする方法を紹介します。

やる気に頼らない、とはどういうことか

やる気は、天気のようなものです。晴れる日もあれば、くもる日も雨の日もあります。毎日晴れることを期待して計画を立てると、くもった日には計画ごと崩れてしまいます。

そこで発想を変えて、やる気が出るのを待つのではなく、やる気がそれほどない日でも始められる形を、先に作っておきます。これが、学習習慣の仕組み化です。歯みがきを毎回やる気で始めている人はいないように、勉強も、生活の流れの中に入ってしまえば、毎回気合いを入れなくても始まるようになります。

仕組み化とは、「わが家の勉強の形」を一つ決めること

仕組みといっても、難しいことではありません。次の五つを、家庭ごとに一つずつ決めておくだけです。

  1. いつ:どの生活の場面のあとに始めるか
  2. どこで:家の中のどこで勉強するか
  3. 何をどれだけ:最初にやることと、その量
  4. 始まりの合図:何を合図に始めるか
  5. 終わり方:終わったら何をして、どんな一言をかけるか

たとえば、こんな形です。

  • いつ:学校から帰っておやつを食べたあと
  • どこで:ダイニングテーブルのいつもの席
  • 何をどれだけ:計算ドリルを3問
  • 始まりの合図:おやつのお皿を片づけたら、タイマーを5分にセットする
  • 終わり方:丸つけをして、親が「今日も座ったね」と一言かける

朝に勉強する家なら、「朝ごはんのあと」「リビングのローテーブル」「漢字を3つ」でもかまいません。朝と夜のどちらに置くか迷うときは、小学生の勉強は朝か夜かで、生活リズムから決める見方を紹介しています。大切なのは、五つが決まっていて、毎日ほぼ同じ形で始まることです。形が決まっていれば、「いつやるの?」「何からやるの?」と毎回話し合う必要がなくなり、親の声かけもぐっと減ります。

五つを決めるときは、子どもと一緒に決めてください。「おやつのあとと、お風呂の前、どっちがやりやすい?」と聞いて、子どもに選んでもらいます。自分で選んだ形のほうが、守られやすくなります。

量は、拍子抜けするくらい小さく

勉強が続かない大きな理由の一つは、始める前から気が重くなるほど、量が多いことです。最初の量は、拍子抜けするくらい小さくてかまいません。

  • 計算を3問
  • 漢字を2〜3文字
  • 教科書を3行だけ音読する

始めてしまえば、そのまま少し続けられることもよくあります。子どもが自分から「もう少しやる」と言ったら、続けてかまいません。ただし、次の日から量を増やすのはやめておきます。量を増やすかどうかは、子どもと相談して決めます。そんなに短くて意味があるのかと感じる方は、1日3分の勉強でも習慣が続く理由も読んでみてください。

親の役割は、「教える人」より「環境係」

多くの親は、自分の役割を「勉強させる人」「教える人」だと考えがちです。仕組みを回すうえでおすすめなのは、「環境係」になることです。環境係の仕事は、次のようなことです。

  • 勉強の時間になったら、タイマーを用意しておく
  • 鉛筆、消しゴム、ドリルを、すぐ手の届く場所にそろえておく
  • 勉強の時間は、テレビを消すか音を小さくする
  • 子どもがつまずいたときは、答えを教える前に「どこで止まった?」と聞く

横から「そこ違う」とすぐに指摘したくなる気持ちは分かりますが、口を出すほど、子どもは自分で考える前に親の顔を見るようになります。

親子で同じ時間を過ごす

子どもだけが勉強していて、親は横でスマホを見ながら「ちゃんとやりなさい」と言う。これでは、子どもにとって勉強は「自分だけがやらされるもの」になります。

おすすめは、勉強の時間を、親子それぞれが静かに何かに集中する時間にすることです。

  • 子どもがドリルをしている10分間、親は本を読む
  • 子どもが漢字を練習している間、親は家計簿や手帳の整理をする

「この時間は、家族がそれぞれ静かに何かをする時間」という空気ができると、言葉で指示するよりずっと自然に、子どもは机に向かえるようになります。

終わり方を大切にする

習慣づくりでは、終わったときの気分がとても大切です。終わったとたんに注意や説教が待っていると、子どもの中に「勉強のあとは、いやなことが起きる」という記憶が残ります。

  • 終わったら、一言だけでいいので、よかったところを伝える
  • どれだけできたかより、「今日も座った」「決めた3問をやった」という事実を認める
  • 「なんで間違えたの」は、その場では言わない

休む日も、仕組みに入れておく

「毎日絶対にやる」と決めると、できなかった日に親も子も気持ちが折れてしまいます。休む日は、はじめから仕組みの中に入れておきます。

  • 習い事のある曜日は、お休みにする
  • 体調が悪い日や、行事で疲れた日は休んでいいと決めておく
  • 休んだ次の日は、前の日の分を足さずに、いつもの量から始める

続いているかどうかは、一日ごとではなく、一週間くらいの長さで見てください。数日休んだ週があっても、また戻ってこられていれば、習慣は続いています。止まってしまったあとの戻り方は、勉強の再開のコツで詳しく紹介しています。

見るのは、点数より「変化」

仕組みがうまく回っているかどうかは、テストの点数だけでは分かりません。点数で一喜一憂しすぎると、子どもは「点数のためにやらされている」と感じるようになります。見てほしいのは、次のような変化です。

  • 声をかける前に、座れる日が増えてきた
  • 始めるまでの時間が短くなってきた
  • 自分でドリルやプリントを選ぶようになってきた

こうした変化を見つけたら、言葉にして伝えてください。「最近、言われる前に座ってるね」。こうした一言を重ねるうちに、子どもの中に「自分は続けられる」という感覚が育っていきます。習慣が続く家庭に共通する条件は、小学生の勉強習慣の付け方でも整理しています。

まずは親子で、「いつ・どこで・何をどれだけ・始まりの合図・終わり方」の五つを、一つずつ決めてみてください。紙に書いて、机の見えるところに貼っておくと、それだけで仕組みは動きはじめます。

この記事をシェアする

Author

石田憲太朗

創業者・運営者

家庭で続けやすい学習設計を、研究知見と実装の両面から改善しています。

運営者プロフィールを見る

関連記事

夏休みに学力は落ちる?低下の正体と2学期につなげる過ごし方
#夏休み#家庭学習

夏休みに学力は落ちる?低下の正体と2学期につなげる過ごし方

小3・小4の算数で家庭学習に大切なこと3つ|中身より「始まり方」
#小3・小4#算数

小3・小4の算数で家庭学習に大切なこと3つ|中身より「始まり方」

学習習慣を行動科学でつくる:「やらせる勉強」から抜け出す方法
#家庭学習#学習習慣

学習習慣を行動科学でつくる:「やらせる勉強」から抜け出す方法

小学生の勉強は朝と夜どっち?生活リズム別の学習タイミング
#学習習慣#タイムマネジメント

小学生の勉強は朝と夜どっち?生活リズム別の学習タイミング