子どもの勉強は「短時間×高頻度」で理解が深まる!科学的背景を解説

「勉強は短い時間でこまめにやるほうがいいらしい」と聞いたことはあっても、本当にそれで身につくのか、ただ楽をさせているだけにならないか、と不安になる方もいると思います。長い時間やらせると嫌がるので短くしているけれど、それでいいのか迷っている家庭も多いと思います。
結論から言うと、覚えたことを長く残すという点では、一度にまとめて長くやるより、短い時間に分けて何度もくり返すほうがよい、ということが研究でかなりはっきり分かっています。ただし、どんな場面でも短ければいいわけではありません。この記事では、短時間×高頻度の勉強がなぜ身につきやすいのか、その背景と、向いている場面・向かない場面、家庭での進め方を紹介します。
一度に長くより、分けて何度もくり返すほうが残る
学んだことを長く覚えておくには、同じ量を一度にまとめてやるより、何回かに分けて間隔を空けながらくり返すほうが向いています。心理学では「分散学習」と呼ばれ、記憶の研究の中でも、とくに多くの研究で確かめられてきたことの一つです。
算数の学習に限った研究をまとめた分析でも、同じ結果が出ています。まとめて一気に練習した場合に比べて、間隔を空けて練習した場合のほうが、あとまでよく覚えていました。効果の大きさは、小さめから中くらいです。
たとえば、分数の計算を20問練習するとします。
- まとめてやる:月曜日に20問を一気に解いて終わり
- 分けてやる:月曜日に5問、火曜日に5問、木曜日に5問、翌週にもう5問
解く問題の数は同じ20問ですが、長く覚えていられるのは、分けてやったほうです。
なぜ、分けたほうが残りやすいのか
分けてくり返すと覚えやすくなる理由の一つは、「思い出す」回数が増えることです。
一度に20問を続けて解くと、2問目からは、さっき解いたばかりのやり方をそのまま使えます。頭の中に答え方がまだ残っているので、思い出す手間がほとんどかかりません。一方、次の日に同じ種類の問題を解くときは、「どうやって解くんだっけ」と、少し忘れかけたやり方を思い出す必要があります。
この「思い出そうとする」ひと手間が、記憶を強くします。アメリカの教育省がまとめた学習の手引きでも、学習の時間を分けることと、大事なことを小テストなどで思い出す機会を作ることが、根拠のある方法として勧められています。
少し忘れかけたころにもう一度解く。その少しの難しさが、実は身につくための大事な材料になっているのです。
もう一つの良さは、始めやすく続けやすいこと
短時間の勉強には、覚えやすさのほかにも、家庭で続けやすいという良さがあります。
- 始めるときの気持ちが軽い:「5問だけ」なら、机に向かうまでの時間が短くなる
- 終わりが見えている:どこまでやれば終わりかが分かるので、途中で投げ出しにくい
- 「できた」の回数が増える:毎回最後までやり切れるので、「今日もできた」という経験を積み重ねやすい
長い時間やらせようとすると、始める前から終わりが遠く見えて、子どもはなかなか動き出せません。やっと始めても、途中で集中が切れて、いやな記憶だけが残ることもあります。短く区切れば、その心配が小さくなります。
短時間の勉強が向かない場面もある
ただし、短く分ければ何でも身につくわけではありません。分けてくり返す練習は、一度理解したことを忘れないようにするための方法です。まだよく分かっていないことを、分かるようにする方法ではありません。
新しい単元に入ったばかりで、解き方そのものがまだ分かっていないときは、短い練習をくり返しても、分からないままの問題をくり返すことになります。そういうときは、先に例題を見ながら解き方を理解し、似た問題を一問解いてみる、という時間をとってください。解き方が分かってから、短い練習に分けてくり返していく、という順番です。短い練習の途中で手が止まってしまう子には、勉強が途中で止まるときの進め方で、解ける問題を間に挟む形を紹介しています。
家庭での進め方
家庭で短時間×高頻度の勉強を取り入れるときは、次の五つを意識すると続けやすくなります。
1. 時間ではなく、やることで区切る
「15分勉強」より、「計算ドリルを5問」「漢字を3つ」のように、何をどれだけやるかで区切ります。時間で区切ると、子どもは問題より時計が気になります。やることで区切れば、あとどれだけで終わるかが子どもにも見えます。
2. いつも同じ流れの中でやる
「おやつを食べたら」「お風呂の前に」「朝ごはんのあとに」のように、毎日の生活の流れの中に置くと、始めるきっかけを毎回考えずにすみます。時間帯は家庭によって違ってかまいません。
3. 少し物足りないくらいで終える
「もう少しできそう」というところで終わるのがこつです。毎回ぎりぎりまでやると、次の日に机に向かうのがいやになります。決めたところで終われることの大切さは、「今日はここまで」と区切る勇気でも紹介しています。
4. 前の日や前の週の問題を、少しだけ混ぜる
分けてくり返す効果を生かすなら、新しい問題だけでなく、前の日や前の週にやった問題を1〜2問混ぜておきます。少し忘れかけたころにもう一度解くことが、覚えたことを長く残すことにつながります。
5. 終わったら、点数より行動を認める
終わったら、正解の数より、「決めた5問、ちゃんとやったね」「前の週の問題も解けていたね」と、やったことをそのまま言葉にして伝えます。
避けたい使い方
せっかくの短時間の勉強を、続かなくしてしまう使い方もあります。
- 調子がいいからと、少しずつ時間を延ばしていく:短いから始めやすかったのに、長くなると始めにくさが戻ってきます
- 一日休んだことを責める:休んだ次の日は、前の日の分を足さずに、いつもの量から始めれば十分です
- テストの点が悪かったら、時間を増やす:点が悪かったときに見直したいのは、時間の長さより、練習の中身です。分からないまま練習していないか、前の問題を混ぜているかを確かめてみてください
決めた量を、親の都合で変えないことが大切です。変えたくなったら、子どもと相談して決め直します。
毎日やらないとだめなのか
「短時間×高頻度」と聞くと、一日も欠かしてはいけないように思えますが、週7日のほうが週5〜6日よりはっきりよい、という根拠は、いまのところありません。大事なのは、間隔を空けながら何度かくり返すことで、一日も休まないことではありません。
習い事や行事で忙しい日は、1問だけ解く、九九を口で1回言う、といった小さな形でもかまいません。まったく触れない日が続かないようにしつつ、休んだ日は気にしすぎないくらいがちょうどいい距離です。
短時間×高頻度の勉強は、楽をさせる方法ではなく、覚えたことを長く残し、しかも続けやすい方法です。まずは次の勉強で、いつもの問題に、前の週にやった問題を1問だけ混ぜてみてください。さらに短い「1日3分」から始めたい場合は、1日3分の勉強習慣が続く理由も参考になります。
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Author
石田憲太朗
創業者・運営者
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